大阪のローマピザ職人しもせのホワイト飲食経営論的な何か

年商2億円・年間休日130日のホワイトなイタリア居酒屋とラーメン屋を6店舗経営/本職ローマピザ職人/元飲食広告制作サラリーマン/損益分岐点の低いローコストほのぼの飲食経営スタイル広めて、飲食業界を過労しなくても成功する世界にしたい/全国750社参の飲食経営勉強会の2019年MVP経営者💖←参加企業募集中(個人店OK)

満員電車の窓を開けてかきフライを何個も放り入れる、基本は揚げたて、だけど、たまに揚げてから72時間経ったべちゃべちゃのかきフライも放り入れるし、揚げる前のパン粉付きかきも放り入れる、景気良く、とにかく景気良く放り入れる、熟練者は創作料理カキフライを放り入れる、長野県出身の『おどけた振りした鏡の中の狼』と異名を持つ高橋さん夫妻(78・88)は今夜『カキフライ枕』を作り上げた、寝ようとしてかきフライに顔をうずめる、サクッとした感触がにきびをつぶす、三秒後には衣を突き破りぷるんぷるんのカキが頭を覆いつくす、目覚めた時、時計を見ると会社に遅刻する時間だった、いかん、寝すぎた、高橋さん夫妻に電話をする、フリーダイヤルだ、『ええ、ゆっくり寝れたでしょう?』、たしかにゆっくり寝れたのだが・・・私は鏡の中の自分を見た、そこには、かきフライを美味しそうにほおばる高橋さんが笑っていた、高橋さんは70歳を超えているが顔中にきびだらけだ、私は素直に思った、『手遅れだ・・・ビオレじゃ・・・』、私は無情感を抱えながら、今日も満員電車にカキフライを投げ入れる、高橋さんのにきびを消すために、今日も戦うのだ、ああ、かきのシーズンが終わっていく。


帰省する時に乗る夜行バスの暇つぶしにと思ってアドバンスのトルネコ買いに行ったけど、どこにも売ってなかったから、すんごいやる気がなくなって、しかも満員電車で、なんか、もういいんだ、ってなって、自分の街の駅のひとつ前の駅で降りてみた。そのとき、カキフライのことしか考えれないまま街を歩いていた。僕は納豆専門店でご飯を食べて帰った。かきはもういない。