居留守中に風呂に生まれ落ちるということ
午前中に風呂に入ることがある。私は汗をかいた後の風呂をとても愛しているので、汗をかいていない時はむりやり汗をかく。バスタブの四隅にそれぞれ手足を置き、バスタブの上で生まれたての子鹿や生まれたてのお前ら人間のようにぷるぷる震えながら四つん這いになり汗をかく。今日もいつものように『よーし!いいぞー!だいぶ筋肉に負荷きてるぞー!よーし!このままお湯にスカイダイビングでぼっちゃーんですわ!我が家の琵琶湖があふれちゃう!ふおー!』と言いながら風呂を楽しんでたらピンポーンって鳴った、宅配便だ!私のこの状態で風呂の外に出ようとするのは非常に危険である、足をすべらしてバスタブに頭をごっつんこさせて『風呂が私で私が風呂で』という体の入れ替わりが起こる可能性がある、私は液体になりたくない。かといって、ぼっちゃんと湯船にダイブしてしまうとびしょぬれのまま全裸で宅配便のお兄さんの前に出なければいけなくなる、宅配便のお兄さんはとても忙しいので私が清潔でセクシーなタンキニを着る時間もまってくれないだろう。だからもう、いるのがバレないようにじーっとしてるしかないじゃないか、お兄さん、早く不在届け置いて帰って!あー、もう、ダメー、手足がぷるぷるしてきたー!ふおー!負荷がーー!落ちちゃうー!生まれるー!子鹿がーー!!今日から私もお母さんね。