大阪のローマピザ職人しもせのホワイト飲食経営論的な何か

年商2億円・年間休日130日のホワイトなイタリア居酒屋とラーメン屋を6店舗経営/本職ローマピザ職人/元飲食広告制作サラリーマン/損益分岐点の低いローコストほのぼの飲食経営スタイル広めて、飲食業界を過労しなくても成功する世界にしたい/全国750社参の飲食経営勉強会の2019年MVP経営者💖←参加企業募集中(個人店OK)

トイレで誓う未来

種田が僕のトイレを占領してから一ヶ月が過ぎた。


正確に言うと、いつのまにやらトイレの床に落ちていた種田仁プロ野球カードが全く動くことなく無事に夏を過ごした、ということである。おそらく世界一格好がつかないガニ股の打撃フォームを持つ種田だけども、そのあからさまにモテないスタンスを貫き通すプロの生き様を見て思春期の頃のモテない僕は涙を熱いガニ股から流したものである、女の子に振られたらスピッツの曲を聴く前に種田がカラオケではしゃいでる姿を想像したものだ、同じ涙がきらり。


圧倒的存在感のある種田を前に僕は夏の間、ずっと種田に見守られながらトイレで素敵な夏休みを過ごした、いとしさ故に波打ち際で水をかけあおうかと思った、TOTOの波は湘南の海ほど綺麗じゃないけど。ああ、もう秋。お別れしなくちゃ、夏の恋は寂しげな季節の前に無力だ。思えばこの種田は誰が持ち込んだんだろう?あの女の子かな?アバンチュール。あの子って種田好きなんだー、へー、意外、ずんだもちと小栗旬を足して2で割ったような顔(いわゆるピッコロ顔)が好きって言ってたのに、僕のひと夏の恋は種田だけ残して過ぎ去った。あの子は自分のイヤリングを残す代わりに種田を置いていったんだ、『私は種田好きよ、そんなあなたは?』、思えば種田はあの女の子が僕の恋人にした宣戦布告の証。


せぷてんばあ、9月も終わりに近づいた今日。僕のトイレから種田はいなくなった。代わりに福田首相の生写真が置いてあった。僕の恋人からのメッセージなんだろう、『私をファーストレディーにして』、僕は確かにあの子の思いを受け取った。いつか日本一になってやろう。僕は一生、総理の生写真をトイレの床に置くことを決めた。夢が叶うまでは。そして、さよなら、種田、ガニ股の女の子と過ごした一夏の恋。