めんどくさい貧乏感覚
最後のお金はうどんに使おうと思う。
不思議なことにお金が無いんである。友達と酒を飲んで酩酊し気がついたら朝で『朝ご飯にはベーコンエッグだね』と言いながら郵便ポストの上でタマゴを割っている時に覚醒し、俺の目にはポストがベーコンに見えているのか畜生目ということと財布の中が空っぽだったということに気づくのが週一くらいで起こるくらいしか心当たりがないのだ。タマゴを買いすぎたのか酒を飲みすぎたのかよくわからないけれど、少なくともベーコンは買いすぎてはいない。あいはぶのーべこん、ばっとのーまねー、不思議。ベーコンは金持ちの象徴。
お腹が空いた。財布の中には人っこ一人もいやしねえ、諭吉も英世も小島よしおもいねえ、せめてすみこぐらいいて欲しい。小銭ちゃらちゃら、数えるのもめんどくせえ、何枚か銀色が光ってるから、大好きなうどんくらいなら食えるんじゃないかと逡巡した。私は神保町にある丸香という讃岐うどん屋が大好きである、もし二号店を出す話があるのなら、是非我が家の本棚の隣あたりにある無駄なスペースに出店して欲しいものである、本が増えて本棚を増設するまでは毎日営業して欲しいくらい丸香のうどんを愛しているのだ。デッドスペースをうどんで埋めたい!
我慢できない、だってあのうどん旨すぎるよ、出汁のほのかな甘みと醤油のやわらかい味、麺のしこしこもちもちほわほわ、天かすのじわじわ旨味が広がる感じ、大好き。しかし、果たして私はうどんを食べるお金を所持しているのだろうか?数えたくない、もし数えて足りなかったら店に入る道理がなくなるではないか、お金無いってわかってる精神でうどんは食べれない、でも無いかどうかわからなかったらしかたないやん、うん、強行突破、男は度胸。いざとなったら高校時代に早弁をする時に流しそうめんを取り入れては理解無い鬼教師達に共にぼこぼこにされた麺道楽の盟友M君にお金を調達させればいいし。早弁するならせめて静かにしろ、と怒られたっけ。
でもなんか、金足りなかったらめんどくさいことになりそうだから、無難に一番安いかけうどんにした。食べた。美味しかった。お金足りた。でも、ここは150円のちくわ天が異常に旨いので、それ食べれなかったのは残念だな。あー、食べたかった。私は店を出てすぐ近くの自販機で缶コーヒーを買った。あれ?ちくわ天買うお金あったのか!その後タリーズでコーヒーも飲んだし。あー、お金数えるのめんどくさがったせいで・・・。
これからはM君に僕の家計簿をつけさせようと思う。『今の財布の中身ならちくわ天食べれるよ!』という言葉をM君には一生言ってもらいたい。お金は自分で数えない。