NHKの集金がやってこない
最近NHKの集金の人がやってこなくて寂しい思いをしている。
僕ん家の担当の人は40歳過ぎてる臭いオッサンなんだけど、目がつぶらで超可愛い。僕の中ではオッサンはスザンヌだ、ラブリーガール。NHKは『ニャンちゅうワールド放送局』くらいしか見てないけど、ちゃんと料金払おうという気になるのは、オッサンが愛おしいから。支払いをお願いしちゃうのって迷惑ですよねごめんなさいというように怯えた目で僕をじっと見つめるオッサン。けなげ。かわいい、オッサンかわいい、はかなげ、ハンカチで汗をふくのが上手すぎる、この仕事辛いんだねってことが伝わって来るハンカチさばき。僕はオッサンの虜。視聴料払わせて下さい!紅白で司会を務めるし、Perfumeと一緒にトップランナーにも出てあげるし、英語でしゃべらナイトで真顔でスワヒリ語しゃべってあげる!
と、雀の涙のボーナスを全部つぎこんでNHKに視聴料を払う気満々だったんだけど、オッサンが来ない。ねえ、悪いところがあったら直すよ?もう終わりなの?せつない。NHKからの連絡。なんか、もう直接集金しなくなったんですってね、全部口座引き落としになったんだってね、じゃあ、オッサンは僕と会える最後の日ってわかってて、あの日、笑顔でいられたんだ、そっか、心で泣いてたんだなあ。オッサンとの初めての夜を僕は思い出した。
僕 『え?あの、うち、テレビないんですよね(と言いつつ、僕はがに股になり、太ももの奥にテレビがちらちら見えるようにする)』
オ 『あの、でも、テレビ見えてますよ(ハンカチを噛む、甘噛み、強噛みをリズム良く)』
僕 『あー、あれですか?あれは大型ブロック牛肉ですよ。』
オ 『でも、音が聞こえてきますけど・・・』
僕 『ブロック肉にipodが埋め込まれてるタイプなんですよ。』
オ 『そうですか・・・・それは私の知らない肉業界の最新の製品なんですね、じゃあ、帰ります・・・』
僕 『ちょ、ちょっと待って!』
オ 『はい。私って駄目ですね・・・』
僕 『いや、あれ、テレビだから!』
オ 『でも、肉だって・・・』
僕 『だって、音が聞こえるじゃないか!』
オ 『どうせアップルの新商品なんでしょう?』
僕 『あれはBSのアンテナだよ!』
オ 『え?』
僕 『BS・・・そう、BSだよ・・・・』
オ 『それじゃあ、お金お願いしまーす』
僕 『(か、か、可愛い・・・)』
僕は映らないBSの料金まで払おうとした。それほど、彼は魅力的だった。もう彼に会えないんだね。僕は忍玉乱太郎を見ながら涙をとめどなく流した。きりまる・・・