就職戦線異常なし
10月下旬
・一週間で20冊ほどの就職活動本を読破して、もう就職した気分になったので就活ヤル気失くす。しかし、読んだ本の4分の1は『リクルートスーツ着エロ特集』だったので、このままではいけないなって思って再び立ち上がる。俺の中で大企業の面接官は『この会社に入りたいならリクルートスーツの上にブラジャーとショーツを着けてもらおうか!』というようなことを叫び卑猥な要求をしてくるというイメージが固まった。
・面接官に好かれるために、勝負下着に気合を入れなきゃいけないのだ!と、思ったので第一志望の会社名をミカンの汁でブラジャーに書いてみた、僕の体温が上がって文字が炙りだされれば合格や!志望動機はすね毛を剃って表現しようと思う。
・たくさん本を読んでるうちに自分のやりたい仕事が見つかり始めた。今までは、オリンピックの開会式中に選手のヒゲを勝手に剃って新しいヒゲを赤ペン先生と一緒に修正ペンで書いていくっていう仕事が第一志望だったんだけど、オリンピックを開催するに当たってたくさんの人が見えないところで働いて支えてるということを知り、めんどさくなったのでオリンピック関連は無視することにした。
・興味がある仕事を詳しく調べるために、業界研究の本を数冊読んでみた。ダライ=ラマの本が一番良かったので、チベット仏教に就職しようかって10秒考えたけどやめた。広告、制作会社、食品メーカー、金融、総合商社などの本を読む。とりわけ、広告。
・リクルートスーツを買いに行った。就職ってのは見た目で勝負されたら勝てるわけない容姿の僕なので、清潔感があって失礼のないような無難なスーツでいいんじゃないかって思ったんだけど、没個性もつまらない、そもそも日本でスーツという服を作ったのって僕が初めてじゃないかなって思うんだ、それまでフンドシ姿だった日本人のビジネススタイルをビシっとしたスーツに変えたのって俺じゃないかな、3時間くらい前から急に日本人はフンドシからスーツに着替えたよね、違う、違うか、アオキは4時間前から営業してたものな、勘違うか。
・粋でいなせな伊達男、に憧れているので普通のスーツじゃ面白くない、だけどカッコ良すぎると浮いてしまう。カッコ良さを出しつつ親しみが持てる、っていうのは人とは違う遊び心を取り入れた自然な普段着ってものに顕れるんじゃないだろうかと考えたので『僕が今日着ている服を生地にしてスーツを作ってください』と店員さんに提案する、売り物のネクタイ10本くらい持ってきて大事なところを隠しながらじらしつつ服を脱ごうとしたのだけど、『お客様、流石に羽毛布団からスーツは作れません』と店員さんに言われた、そうか、今日の僕は羽毛布団で体をくるんでいるという冬の朝方最先端ファッションだったっけ。
・無難にスーツを買う。こうして、僕の就職活動は本格的に開始されたのだ!