笑いの教科書
- 出版社/メーカー: アール・アンド・シー
- 発売日: 2007/05/30
- メディア: DVD
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僕の人生のテーマは『目の前で泣いてる人がいたら笑わせたいでしょう(江頭2:50理論)』なので、常に笑いの構造を意識して生きています。ところが私一素人の未熟さ浅はかさではどうもお笑い理論に磨きをかけきれずにいて、言語化出来ずもやもやーっとしております。そんな時に、笑いの化け物島田紳助がNSCで『笑いの教科書』などについて真剣に講義した映像を収めたDVDが発売されたと知って、ドキドキしながら買ってまいりました。何度も見て何度も笑いについて考えました。これはあくまでも芸人向けで、一般的ではない、常に観客を意識した笑いの教科書です、他者との間に一線を引き、友人や恋人や家族である前に芸人と観客という関係性の中でのみ有効に活用出来る教科書です。近いコミュニケーションに関しては何も意識する必要ないしね。これは笑いに真剣に立ち向かうための距離感を意識したシステムだと思いました。漫才だけではなく、ブログ(及びテキストサイト)の運営にも参考になると思います。以下に記録として紳助さんの講義のエッセンスを残しておきます。長いよ。大事なのは『自分が出来る面白さを追い求めることと、時代の流れを読んで世の中に合わせること』、それが要約。
『大前提として、世の中は全て才能。』
『努力には意識を持つこと、意味なく練習してもただの筋トレ、常に状況を設定して考えて動く、いかに効率良く動くか。』
『必要以上にネタを練習するな、上手くなった気分になっても面白くなったわけではない、ただそれは自分たちがネタに馴れただけ。』
『笑いを生むには音の抑揚が大事。面白い奴は声のトーンの変換を絶妙に合わせることが出来る。才能無い奴は音がぶれる、安定しない、面白いトーンを掴めない。』
『リズム感が大事。稽古場で練習するよりも外で歩きながら練習しろ。人は歩く速さに合わせてしゃべる。歩きながら自分のしゃべりが面白くなるリズムの基本ベースを探す。』
『漫才には教科書が無い。だから、自分が作ろうと思った。』
『人の漫才をビデオに撮って、言葉を紙に書き出し、何が面白いのか解体して分析する』
『オチに入った時の文字数。一分間のしゃべりの間を分析する。』
『ベテランは間を大量に生産できる。上手い人は一分間に20個、間を作れる。上手い=面白いではないが、上手い方が面白くなる確率が高い』
『紳竜やツービートやB&Bは間を8個しか作れない。だから、片方が一方的にしゃべることで間を作った。』
『高校生の漫才を見て大爆笑したことがある。プロでもないのに何故面白いのか不思議に思ったからビデオに撮って分析。そこで法則発見。』
『ネタの笑える部分のパターン8割は同じ。同じ構成で笑いを作ってる。野球で言えばフォークボールばかり投げてるようなもの。』
『でも、同じ球ばかり投げてたら客の目も馴れて飽きられる。だからそれほど素晴らしくないボケをはさむ。わざと面白くないボケをいれる。それは自分たちの一番面白い部分を際立たせるため。落差を強くする。』
『勝てない現場には行かない。面白いことが出来そうになかったら仕事すっぽかす。行ったら負けが確定する、それなら行かずに引き分け。』
『それまでの漫才の定義は老若男女に受けることだった。だけど、音楽だって演歌やアイドルやファン層が細分化されてる。お笑いだってそうあるべきだ。』
『ターゲットを絞り、どの世代に、どんなお笑い理論で、どんな漫才のパターンでやるか考えろ。』
『自分のどういう部分が面白いのか見つける。受けた時のパターンを抽出して分析する。』
『年代ごとにレコードを聴く、ただ聴くんじゃなくて、音楽はどういう風に変わって行ったのか、流れを分析する。それを徹底的に調べる』
『自分の中の面白さを必死に探す。そして、世の中の流れを必死に探す。その二つが見つかったら初めて芸人として悩む。でも、ほとんどの人はどっちも見つける前に悩んでる。』
『新しい笑いを作る方法なんてわかるわけない。今、俺は面白い漫才なんて出来ない。それは今の漫才の流れを研究していないから。』
『どうやったら面白くなりますか?』って聞かれても答えを言えない。なぜなら、その人がどんな面白いことを出来るのか、わからないから。』
『自分で必死に自分の中にある面白さを探さなきゃいけない。人に聞いたってわかるわけない。漫才の流れは研究したら言えるかもしれないけど、片方がわからなければ公式は成り立たない。』
『何の根拠も無く売れたって上手くいくわけない。なぜなら、時代は流れるから、世の中の笑いは変わる、たまたま時代に合っただけ。変わらない自分と変わる世の中を常に意識する。』
以上。終了。他にも色々と面白い哲学を語ってはりました。お笑い理論以外で僕が好きだった話は、『脳で覚えるな、心で記憶しろ』です。
高校時代に覚えた数学の公式なんで思い出そうとしても思い出せないのに、友達とのささいな面白話はしっかり覚えてる。それは前者が覚えようとして脳で記憶して、後者は心で記憶してるから。
楽しくないことを無理にやったって身にならない、面白!って楽しまなきゃ人生の経験値は増えない。楽しんで、心で記憶しなきゃ、自分の可能性は豊かにならないんだ。